国防政策 2010 7 18
書名 なぜ日本にアメリカ軍の基地があるのか
著者 松本 健一 牧野出版
多くの国防をめぐる議論は、
米軍基地が日本にあることを前提として、議論されています。
しかし、この本では、
「独立国家である日本に外国の軍が駐留し、
外国の軍に防衛を任せるのは、おかしい」という始点から、
議論を始めています。
また、この本には、
「だから鳩山首相も『国外』移設を言ってきた」と書いてあります。
「鳩山首相が、独立国としての日本は、本来ならば自主防衛を目指すべきで、
出来たら『有事駐留』の道をさぐりたい、という理想主義的持論を
ほとんど口にしなかったがゆえに、
メディアには迷走と写ったのであった」とあります。
著者は、民主党の中堅議員に、
日本の近代史(とくに太平洋戦争)について連続講義を行ったことがあるそうです。
その連続講義を依頼したのは、大学時代の友人で、
今は菅内閣の官房長官である仙石由人氏だそうです。
さて、この自主防衛については、私も考えたことがあります。
著者は、日本が自主防衛をする際に必要な軍事予算を5兆円と見込んでいますが、
私は、そんなものでは無理で、二桁必要であると考えています。
米軍の多くの将校が口にするように、
「これからは、宇宙の時代である」ということを考えれば、
つまり、宇宙技術と軍事がセットであることを考えれば、
巨額の軍事予算がかかると思います。
宇宙における軍事的な優位を確立しなければ、軍事的な安定は望めないと思います。
十数年以内に、中国は、軍事力においてアメリカを超えるでしょう。
その時、どうするのか。
日本は、共産党独裁政権である中国の保護領となるのか。
もちろん、今でも、日本には米軍基地がありますので、
アメリカの保護領と言えるかもしれません。
現在の日本は、東から来るアメリカ勢力と、
西から来る中国勢力の「ぶつかり合う位置」にあります。
このような情勢のなかで、日本は、どうするのか。
こう聞くと、多くの人は「外交力で何とかする」と答えるでしょうが、
そもそも、外交は、日本の苦手科目だったでしょう。
外交力を裏付けるものは、軍事力と情報収集能力です。
軍事力はともかく、日本には「CIA」がありませんから、
情報収集能力は期待できません。
つまり、「外交力で何とかする」という答えは、机上の空論であり、思考停止です。
未来において、日本は、アメリカと中国を越える軍事力を確保するのか。
現代においては、たった一個の発明が世界を変えてしまう時代です。
そういう軍事力も不可能ではないかもしれません。
現実論としては、
世界第一位の軍事力と経済力を持つアメリカと、
世界第二位の経済力と世界トップレベルの技術力を持つ日本が、
軍事同盟を結ぶことで、世界平和に寄与していると考えるべきでしょう。
ハイテク部品 2009 10 18
書名 自衛隊はどこまで強いのか
著者 田母神 俊雄 潮 匡人 講談社プラスα新書
この本には、日本のハイテク部品の記述があります。
(以下、引用)
米軍の最新鋭戦闘機F-22ラプターのステルス性能を支えているのは、
実は、地方に本拠を構える日本の某優良企業です。
(中略)
ステルス性能を確保するために、
チラノ繊維が活用されている事実が判明したのです。
チラノ繊維は、日本企業が独自開発に成功した高い技術です。
もちろん、戦闘機にかぎらず、様々な場面で応用されています。
(以上、引用)
現代の兵器は、ハイテク兵器と言えるでしょう。
当然、ハイテク兵器は、ハイテク部品で作られています。
そのハイテク部品を作っている企業と言えば、日本企業を連想するでしょう。
私は、武器輸出三原則を見直した方がよいと考えています。
このような原則は、現代においては、古色蒼然としたものになっています。
現在、兵器の開発には、巨額の資金や様々な技術が必要とされる関係で、
国際的な共同開発が不可欠なものとなっていくでしょう。
また、財政面からも、国際的な共同開発によって、
最新兵器を安く調達する必要性があります。
兵器の開発と生産も、国際分業の時代になったと言えるでしょう。